ユーモアのある愚痴
人生の「勝ち組」ひと昔前によく聞いた言葉。
最近は死語にになりつつあるのかな?近頃は新しい言葉が生まれて、死語になるサイクルが早すぎてついていけない。死語って言葉も、そういえば全然見かけない気がする。
まぁ、それはさておき。
今日は夫の話。
彼は近頃仕事のストレスが溜まっているらしい。
ここ数日、残業をしたり休日出勤をしたり。
それが自分の仕事じゃない、誰かのやり残した仕事だからだ。
会社という組織の中にいたら、会社全体の生産性や安定性のためにはそんなこともあるだろう。それが組織と言ものだ。
そんなことは重々承知で、やっぱり何となく、夫としては納得がいかないらしい。
家に帰って愚痴も言いたくなる。
愚痴の中で、その“仕事をやり残した人たち”のことを夫は
「勝ち組だ」
と表現した。
本来勝ち組の意味は、成功を収めた人、高収入で裕福、全てを手に入れた人、みたいな意味だと思う。
よくよく話を聞いてみると。
その仕事をやり残した人が、年上の自分よりもお給料が高い人。中途半端な仕事をしてもお給料が支払われる。一部の上司が「彼らは年上なんだから敬え」とも言う。
それで自分たちの世代にしわ寄せがきている、というのだ。
「できない」「わからない」と言えば他の人がやってくれる。
学んで解決しようとはしない。
少しの嫌ごとを言われても堪えない。
夫にとっての「勝ち組」はそういう人らしい。
なるほど。
うまいこと言うな、と思った。
よく言うところの給料泥棒っていうやつだね。
話の問題の根っこのところ、旧態然としている会社の在り方、能力主義、終身雇用体制、などを語るつもりはない。
もちろん、ストレスを抱えにくい働きやすい職場であって欲しいな、とは願う。
本来の意味とは全然違う、真逆の対象を「勝ち組」と表現した夫のユーモア。
ちょっと笑ってしまった。
『会社の愚痴を家で言うのは申し訳ない、でも言わずにいると爆発しちゃうから、聞いてくれる?』
そんな、彼の苦悩と気遣いが垣間見える。
何とか面白い表現にしようと考えたのだろうな。
当然、「え?どういう意味なの?」って聞き返しちゃったもの。
そして、意味を聞いて笑った。
彼のそういうセンス、嫌いじゃない。
「家では愚痴ってもいいのだよ」と寛大にさせてくれる。