紙の本の好きなところ
一昨年前の末頃、電子書籍の月額サービスの利用を始めた。
本の読み放題のサービスだ。
月千円足らずで読み放題なら、本を月に一冊買うのとたいして差がなく、元は取れると踏んだ。折しも、コロナ禍で、図書館や本屋に出かけるのも躊躇する時代になったこともあり、この月額サービスに加入するハードルが低かった。
このサービス、読んだ総数からすれば、月に一冊以上のペースで読んだから、当初の目測通り、元は取れていたと思う。
しかし問題もあった。
如何せん目が疲れる。
紙の本と何がそんなに変わるのかはわからないけれど、iPadで読んで文字を大きくしてもダメなのだ。おそらく電子的な光が体質に合わないのだろうと思うのだが、正確なところは分からない。
良いところもたくさんあった。
そこでしか見られない(おそらく自費出版と思われる)本があったり、新刊が意外に早く読めたりする。
暮らし系の雑誌に好きな女優さんや作家さんが出ていることがあって、そんな雑誌も読むことができた。そういう、本屋に行って自分では絶対に手に取らないようなものを読むことができるのが、最大の魅力だ。
こんな事もあった。
一時期、手帳術とか家事時間について興味があって調べたいときがあった。自分の中では、
本を買うほどではない
でもちょっと人様の手帳の中身を拝見したい
どんな風に活用されているのかな?
なんて時に、「○○手帳術」「○○ノートの作り方」などという本を読んだりした。(→どれも素敵な手帳やノートだったけれど、真似はできない)
そんな感じで、その月額サービスもなかなかに活用していたのだ。
3月に入り、とある勉強を始めた。その過程で、参考図書として読みたい本があったのだけれど、読み放題の中にはない。一冊2~3千円するので、複数買う事もできないし、読みたいのは本の中の一部分だったりするから買うのも躊躇する。
その時ひらめいた。
「あっ!図書館へ行こう」
家に居ながらスマホで、図書館の蔵書を書籍検索できるので、その本があるか調べてみた。あった、あった。読みたかった本がすべて置いてあった!
実は、市の図書館が移転して、自宅から少しだけ遠くなったのとコロナが流行しだしたのが同時期で、2年ほど図書館へは行っていなかった。
新しい図書館はシステムも変わっていたので、ドキドキ。
今までワンフロアだったのが、3階建ての建物に変わっていて、ジャンルごとに階が分かれている。インターネットで検索すれば蔵書の位置まで示されるようになっていて、短時間で目的の本を探すことができるようになっていた。そんな図書館はたくさんあるだろうが、以前の我が町の図書館からすれば、すごい進歩だ。
その日は、勉強に使う本と小説家借りて帰る。
久しぶりに『紙』小説を読むと、「やっぱり、いいな」と思う。
目に優しい感じはもちろんなのだが、紙の質感や頁をめくるときの音、本の厚みや重さ、それぞれの違いも楽しむ。
ハードカバーの紙の素材も本それぞれに違いがあって面白い。
逆に、普遍的な文庫本のカバーも安定感があって好きだ。同じ色の背表紙が並ぶのを眺めていると、なぜかその中の一冊に心惹かれるときのワクワクドキドキ感。
そして何より、手に伝わる紙の温かみ。
電子図書では味わえない感覚だろうと思う。
どこまでもアナログっぽい感じ。
そういうものが、私は好きなのだ、と思う。
しばらくは、私の図書館通いが続くだろう。